みゆかるBlog-編集者やめろっ!

Web編集者みゆかる(nanapi→somewrite→?)のBlogです。

佐々木紀彦×東浩紀トークイベントに行ってきた。「司会者的メディアをつくれ!」

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水曜日に佐々木紀彦×東浩紀 強いネットを『弱く』するには——東浩紀『弱いつながり』(幻冬舎)刊行記念トークショー第1弾に行ってきました。

 

 

 

各所でもイベント記事が掲載されていますが

 ↓ 必見!

・隠居系男子「編集者に向いている人と、ライターに向いている人の特徴とは?

 

面白かったので全てを書き起こしたいくらいですが、要点かいつまんでご紹介します。(特に東さんの「●●より資金調達ですよ!」と途中加入した津田大介さんの「36億!36億!」の話題はとても楽しかったw)

 

佐々木さん×東さん×津田さんで次回またイベントがあったら絶対に行きますわ。

 

「僕らは本当にこの現実を求めていたのか?」

web界隈で編集に携わる人はご存知かもしれませんが、アクセスは「山」の字のように伸びるとかいいますよね。

午前中は出勤時間、午後はお昼ご飯時、夜はちょうどみんなが帰る時間帯、みたいな。で、お昼が一番伸びやすいっていう。

 

東さん「ニュースが流れる時間を気になり始めるとキリがない。(本来であればお昼休みは)ぼーっとできる時間なのに。僕たちはこれを求めていたのか?」

 

↑ この問いかけむっちゃ胸が痛くなるし、筆者はこの時点でもうブログを書く筆が折れてしまいそうです。

 お昼とかFacebook見ててもレッドオーシャン率ハンパないですからね。

ただお昼が「伸びやすい」と言われているだけで、本当にクオリティー高い記事はどんな時間に公開しても伸びますがね……。ううっ。

 

↓ 以下トーク内容つらつら書いていきます~。

 

時代はニュースキュレーションバブル

1:もはや「ネトサ」は死語

・東さん「グ●シーやスマート●ュースのようにまず『自分のホーム』があってそこからニュースを閲覧する人が多くなった。ネットサーフィンをしない」(36億だもんね!)

たしかにアプリによって便利になったけど、そうなることでみんな「キュレーション」をしなくなった。

・佐々木さん「グ●シーやスマート●ュース、Y●h●o!ニュース、どれも同じようなニュースばかりになってきた

 

2:キュレーションメディアの弱点

東さん「キュレーションメディアの弱点は日本語であること。海外の人はたとえおもしろいサイトでも日本語のキュレーションページだと閉じちゃう」

※「え?海外に行け?結論?!ザワザワ」

▼解決策

佐々木さん「海外のメディアと契約して英語のメディアをタイトル&切り口を日本風にして出すと今後良いのでは?」

 

3:キュレーションのズレをなくせ

佐々木さん「今のキュレーションアプリにはズレがある。フィードに出てきているけど『興味がない』という記事をどうにかしないと」

▼解決策

佐々木さん「コンテンツのプールを豊かにすること。読者が支持するような編集者やライターを生み、その人たちが選んだ記事のほうがずっと価値があるという世の中にする」

東さん「今は限られた資産(記事)をグルグルまわしているだけ。今後オリジナルの記事にどこまで力を注げるのか、誰かがGoogleで調べた『ワード』じゃなくて、新しい『ワード』をつくる作業こそ大切」  

 

メディアとお金の付き合い方

1:流通業者だけが儲かるシステムが質を下げている?

・Y●h●o!はコンテンツを作る側にあまりお金が回らない

→佐々木さん「グ●シーやスマート●ュースは流通業に徹する、いわばY●h●o!と同じシステム

東さん「資金調達してもそのお金で何をするかですよ。CMつくって競合に勝つだけ?得するのってCM作った〇通とテレビ会社だけじゃね??」(会場爆笑)

佐々木さん「もっとお金はコンテンツとコミュニティに注がれるべきです。流通に徹しつつ、停滞化しているメディアを変えるためにメディア側にも返していくことが必要」

 

2:コンテンツを作る側への投資

東さん「webメディアは収益性があまりないことを前提に、どれだけコンテンツを作る側に投資できるかが大事。そうしないと活性化しない」

佐々木さん「コンテンツをお金に変えることに対してみんなまだ未熟なんです」

 

3:メディアのバイアウト

津田さん(まさかの途中加入!)「ハフポのように過去ブログの転載だけだったメディアがバイアウトされて、そのお金で多くの記者を雇い、自社でコンテンツを作ってピュリッツァー賞を獲った。ヤフーがnanapiを買うことはなかったけど、メディアのバイアウトがそろそろくる」

津田さん「独立系のメディアだと、旅ラボとかが注目されてますね。独立系のメディアがバイアウトされて、強くなるメディアが出てくるだろうし、何かに特化したジャーナリズムは希望が見えるのでは?」

 

キュレーションする人生はたのしいのか?

東さん「昔キュレーションの記事書いたけど、やっててむなしくなりましたよ」

津田さん「みんなむなしかったから自動化したんじゃないの?グ●シーもスマート●ュースも

佐々木さん「コンテンツをお金に変えると同時に、『お金以外の何か』がないと国際化して生き残れない。メディアを作る人間は思想が根幹にないと駄目です。いまはコンテンツやメッセージを伝えるのに各社自己規制をかけすぎです」

東さん「『丸めよう』という思い込みに縛られすぎ ですよね」

 

「メディアは何のためにあるのか?」

東さん「メディアは何のためにあるのか?」

・「権力の監視」→別に監視を求めていないひともいるのでは?

・「民主主義」→アメリカなら許されるけど日本でやると嘘くさい

佐々木さん「誰か仲介となる人がいないとみんな自分のいいことしか書かないっていう理由も弱いよね。だだ、表にあまり出てこない情報をとってきて、タメになる情報を可能な限りフェアで報じることは大切です」

東さん「ところが出てない情報ってあんまりないんですよね。だいたいの情報は表に出てきてる」

佐々木さん「そうですね。でも社会の司会者的存在”アジェンダ”は必要です。司会者によって会議がすごくよくなったりまとまったりするじゃないですか。いいアジェンダを持ってきて議論する。この役割が『メディアが何のためにあるのか』の答えに近いのでは?」(このイベントでちゃんとした結論はでませんでした)

 

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まとめ:司会者的メディアを生むために

メディア運営者にとってとてもおもしろいイベントでした。

『司会者的メディア』という言葉にある通り、メディアが1つの劇だとしたら、役者に小道具大道具、音響に衣装に……考えきれないほどの役割をプロデュースする能力が必要ですね。

 

▼余談

ミユカルが働くsomewrite (サムライト)では編集者やライター、エンジニアさんを募集しています。実際にメディアを運営してプロデュース力を鍛えたい人はぜひ。

 

サムライト株式会社の会社情報 - Wantedly

3月にオフィススタートして既に社員13人すか?!

まじか……!(社員1号)

またインターン生も募集しているようです。月末は締め会があってピザやお酒が振る舞われるそうです。ウォーターサーバーがあるので飲み物代が浮きます。10時に来て19時になったら帰ってください。

 

役者だけだと舞台が成立しないのと同じように、確実に今後も質とお金をパワーコントロールする(できる)人材が重宝されます。

パワコンできる人材になりたければ、キュレーションアプリに頼らず、自分で企画を練って独自でキュレーションをし、情報の中から何が大切かを見極める能力を養うしかありませんね。